「もくろみが外れた」 トヨタが見直しを迫られるBEV戦略、想像以上の普及スピードにたじろぐ現実
トヨタがBEV戦略の予測にズレが生じていることを認めた。その背景には何があるのか。
BEV戦略見直しに関する報道
先日、トヨタがバッテリー電気自動車(BEV)戦略について見直しを検討していると報道された。戦略を2021年12月に発表したばかりにもかかわらずだ。
ロイターの報道によると、基本設計のプラットホーム(車台)も見直しの対象に含まれ、2030年までにEV30車種をそろえるとしていた従来の計画の一部は、既にいったん止められているという。
トヨタは、「内燃機関からEVへのシフトにはしばらく時間がかかる」と予測しており、BEVに絞るのではなく、多様なニーズに応えるべくさまざまなラインアップをそろえる「全方位戦略」を描いていた。しかし、BEVを取り巻く世の中の動きは、想像以上に速かった。
「EVの普及が予想以上に急で、さらにテスラなど競合が新たな技術を投入するのが速い。この2点でもくろみが外れた」
このように、全方位戦略の根幹となる予測にズレが生じていることを認めたのだ。とはいえ、世界の動きと自社の戦略にズレを認め、直ちに戦略を見直すフットワークの軽さはさすがトヨタというべきであろう。