平均年収342万円 「空港グランドスタッフ」の待遇はなぜ悪いのか? CAより“4割安い”現実、人手不足の今こそ改善のチャンスだ

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空港での接客業務を担当するグランドスタッフ。その平均年収は、CAと比較して実に200万円超も安い。いったいなぜか。

採用しにくくなれば賃金は上がる

飛行機(画像:写真AC)
飛行機(画像:写真AC)

 つまり、ニーズに比較して応募者が少なく採用しにくくなれば、そのことが賃上げの直接的な動機になるのである。

 実際、正規雇用より短期間で賃金変動のある非正規雇用の賃金の状況を見ると、求人ニーズと賃金の関係性は明白だ。

 例えば、リクルートが運営する「ジョブズリサーチセンター」によるアルバイト・パート募集時平均時給調査「三大都市圏(首都圏・東海・関西)」を見ると、コロナ禍の影響が始まった第1回目の緊急事態宣言後の2020年5月には、アルバイト・パートの時給は前月より30円下がり1074円となっている。

 一方、コロナ禍の影響が薄まり景気の回復が見てきた2022年11月には1149円と、前月比で約7%増の「賃上げ」となった。実感にも合う、極めて自然な理屈である。

順調に人が採用できていた結果

CAのイメージ(画像:写真AC)
CAのイメージ(画像:写真AC)

 逆にいえば、現在のグランドスタッフの賃金水準が低いとすれば、それはこれまでのところ

「応募者が順調に来ていた」

からということである。

 グランドスタッフは、航空機内での

・乗客の安全確保
・長旅中の心理的サポート

などの専門性があり、採用要件が厳密であるCA(なので、CAは人気業界でも年収は高い)と比較すると求められる能力は一般的な事務能力が多く、採用対象の裾野が広い。

 ほかにも、アパレルやブライダル関係など、多くの人が憧れる職業には多い傾向だが、それほど待遇が高くなくても人材を確保できるのであれば、賃上げ圧力は低い。

 しかも、直前までコロナ禍によって開店休業状態であった航空業界は企業の存続をかけてコストダウンを図っていたのであり、人員や賃金水準を上げる動機はなかった。

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