平均年収342万円 「空港グランドスタッフ」の待遇はなぜ悪いのか? CAより“4割安い”現実、人手不足の今こそ改善のチャンスだ

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空港での接客業務を担当するグランドスタッフ。その平均年収は、CAと比較して実に200万円超も安い。いったいなぜか。

賃金水準はどうやって決まるのか

財布を見て悲しい顔をする女性(画像:写真AC)
財布を見て悲しい顔をする女性(画像:写真AC)

 そもそも仕事の賃金水準は、どのようにして決まるか。

 当然ながら、最低賃金法は影響を与える。ただし、これはあくまで「最低賃金」の底上げにだけ影響を与えるのであり、賃金の平均的な水準に直接影響を与えるわけではなく、グランドスタッフの報酬は最低賃金よりは高い。

 また、労使交渉も賃金水準に影響を与える。ただ、厚生労働省の令和4年労働組合基礎調査によれば、労働組合員の推定組織率(労働者がどれくらい労働組合に入っているか)は

「16.5%」

と長年にわたり漸減傾向で、賃金水準を決めるメジャーな原因とはもはやいえない。

 しかも、グランドスタッフは大手航空会社の

「小会社や専門会社への外注」

によってなされていることもあり、この線での賃金水準への影響も少ない。

「市場価値」が最も大きな要因

空港ターミナル(画像:写真AC)
空港ターミナル(画像:写真AC)

 それでは、何が賃金水準を決めるのか。実は、自社の賃金水準を決める最大の根拠は

「市場価値」

である。

 多くの会社は自社の評価報酬制度を設計する際、

「このくらいの仕事してもらう/このくらいの能力を持っている人を採用するなら、労働市場における報酬の相場はいくらくらいか」

を考えて報酬テーブルの金額を決める。

「この給料だと採用できない」なら「ではもう少し報酬を上げようか」となり、「この給料でも採用できる」なら「報酬はこのままでいいか/なんならもう少し下げても採用できるのでは」となるのである。

「社員がどれくらいの生活費を必要としているか」

で給料を考えることはほとんどない。

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