2億円超の赤字! 高知「とさでん交通」の路面電車大ピンチ、公費負担拡大か路線縮小か、高知市検討会が大詰めの協議へ
高知県で路面電車を運行する、とさでん交通(高知県高知市)の経営が危機にひんしている。高知市は地域公共交通の検討会を設けて対応策を協議しているが、6月にも一定の方向を出す方針だ。
6月の検討会で意見を集約へ
高知市地域公共交通あり方検討会はこれまで、3回の会合を重ねてきた。
「路面電車は高知の文化。残すことに意義がある」
「古い電車には観光面の価値がある」
などと現在の路線を維持したいとする声が多かった。
その一方で、
「軌道延長は再検討すべきで、200円区間を中心に考えざるを得ない」
「なくなることのデメリットは大きいが、公共交通利用者は5%しかいない」
と路線の一部縮小を示唆する厳しい意見も出ている。
検討会は6月に予定されている次回の会合で意見を集約し、岡崎誠也市長に提言する方針。高知市は提言を踏まえて新方針を打ち出し、高知県や南国市、いの町などと協議したい考え。高知県交通運輸政策課は
「高知市から話があれば、一緒によく考えたい」
としている。
経営難の影響は便数減の形で既に出ている。伊野線の朝倉~伊野間は2021年1月のダイヤ改正で20分間隔の運行本数が40分間隔になった。いの町総合政策課は
「これでは使いづらい。運行本数を元に戻す方向で再建策を打ち出してほしい」
と注文を付ける。
協議会の提言がそのまま、高知市の方針になるとは限らない。高知県などとの協議で高知市の意見が通らない可能性もある。
ただ、路線の大半を占めるのは高知市。検討会の提言を軽視することはできない。考えられる対策は公費負担の拡大か路線の縮小だ。検討会はどんな結論を提言するのだろうか。