富山県「城端線」「氷見線」LRT化どうなる? 沿線自治体にのしかかる豪雪以上の財政負担、400億投資or新型車両100億揺れる行く末とは
LRT導入に240~435億円の初期費用

富山県のJR城端(じょうはな)線、氷見(ひみ)線の次世代型路面電車(LRT)化検討が大詰めを迎えている。富山県は3月末までに一定の方向を出したい考えだが、LRT導入の財政負担の大きさを懸念する声がある。
「LRT化は工事で運休中に利用者離れが起きるのではないか」
「低床のLRTは雪に弱い点が心配」
富山県高岡市役所で2月上旬、非公開で開かれたJR城端線、氷見線のLRT化検討会。富山県交通政策局によると、会議に出席した沿線の地方自治体からLRT化に対する懸念の声が出たという。
この日の会議は、沿線の高岡市、砺波(となみ)市、南砺(なんと)市、氷見市から副市長が出席するなか、
・電化のための架線を新設するLRT
・架線が不要の蓄電池式LRT
・ディーゼルエンジンで発電した電力でモーターを回す電気式気動車など新型鉄道車両
・バス高速輸送システム(BRT)
について、富山県が導入に必要な事業費を試算して示した。
提示された6パターン

このうち、架線新設のLRTは運行間隔や高岡駅で城端線と氷見線の直通化を図るかどうかで6パターンが提示された。
それぞれの事業費は架線を新設するLRTが240~435億円、蓄電池式LRTが421億円、BRTが223億円。新型鉄道車両は両線の直通化を図れば161億円かかるが、直通化しなければ131億円に抑えられると試算された。
架線新設のLRTは電化工事と低床車両に合わせたホームの改修、蓄電池式LRTはホーム改修と8年ごとのバッテリー交換、BRTは線路のバス専用道路への改修が費用を押し上げた。工事による運休期間は架線新設のLRTが1~2年、蓄電池式LRTが2年、BRTが3~4年とされている。
検討会では、費用が最も安く、運休期間がない新型鉄道車両の導入を前向きに受け止める自治体が目立った。富山県広域交通・新幹線政策課は
「各自治体に試算結果を持ち帰って検討してもらい、次回の検討会で一定の方向を出したい」
と話した。次回の検討会は3月末までに開く予定。