長崎「島原鉄道」崖っぷち 将来はBRTか上下分離か 立ちふさがる「運転手大量確保」の壁、県の指針が今問われる

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長崎県は島原鉄道の将来像について本格的な検討に入る。国と県の支援期間が2023年度で切れるためで、BRT化や上下分離が検討される見通しだ。

人口減少と高齢化の進む島原半島

島原鉄道(画像:写真AC)
島原鉄道(画像:写真AC)

 長崎県は経営危機が続く私鉄ローカル線・島原鉄道(長崎県島原市)の将来像について本格的な検討に入る。国と県の支援期間が2023年度で切れるためで、バス高速輸送システム(BRT)化や上下分離が検討される見通しだ。

「島原半島は観光で地域を存続させるしかない。そのためには島原鉄道の存続が望ましい」

人口減少と高齢化社会の進行で厳しい状況に追い込まれている長崎県南部の島原半島。地元で観光振興の推進役を務める島原半島観光連盟で話を聞くと、島原鉄道の存続を望む声が返ってきた。

 島原半島を構成するのは、島原市、雲仙市、南島原市と諫早市の旧森山町。終戦後の1950(昭和25)年には23万人以上が暮らしていたが、2023年3月現在の推計人口は13万人を下回り、諫早市を除く3市は全域が過疎地域に指定されている。働く場所が少なく、多くの若者たちが古里を離れたからだ。

 だが、半島内には、雲仙温泉や風光明媚(めいび)な有明海、江戸時代の島原の乱の舞台となった原城跡などがある。半島全体が国際的な価値を持つ地質遺産として世界ジオパーク、原城跡が世界遺産に認定されるなど、観光面での潜在能力は高く評価されている。コロナ禍まで年間延べ700万人前後の観光客が押し寄せていた。

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