トラックドライバー不足を「外国人労働者」で穴埋めしようとする発想の耐えられない軽さ

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移民受け入れの是非が現実的な問題となっているなか、トラック業界でも外国人労働者導入に向けた本格的な検討が始まっている。そこに問題はないのか。

減少する労働人口と「2024年問題」

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 外国人労働者で人手不足を補充する――。移民受け入れの是非が現実的な問題となっているなか、トラック業界でも外国人労働者導入に向けた本格的な検討が始まっている。

 全日本トラック協会・全国ハイヤー・タクシー連合会・日本バス協会はいずれも2023年度の事業計画に外国人労働者導入に向けた取組を明記している。トラック業界では、2024年4月の働き方改革関連法施行により発生する「2024年問題」が大きな課題となっている。その解決の手段として、外国人労働者導入は、どれだけ有効なのか。

 2024年問題というキーワードでまとめられる、トラック業界の問題は多様だ。そのなかでも、ドライバー不足はいっそう厳しいものとなる。新たな働き方改革関連法では、ドライバーを対象にした時間外労働の上限が年960時間に制限される。このため、トラック業界ではより多くのドライバーを確保する必要に迫られる。

 また、低賃金のドライバーは時間外労働によって収入を確保することが常態化している。そのため、収入を増やす手段としての時間外労働が制限されるとなれば、離職を検討する人も増える。こうした“負の連鎖”によってドライバー不足は深刻化するのだ。

 人手不足はトラック業界だけではなく、あらゆる業界で深刻化している。少子高齢化がさらに進めばより厳しいものとなる。

 労働政策研究・研修機構(東京都練馬区)の調査によれば、2017年時点での労働人口は全国で約6720万人。これが、2040年には約5460万人まで減少するとしている。あと二十数年後には、社会を支えている労働力が約2割減るのだ。

 労働力の減少という事態において、人工知能(AI)などさまざまな最新技術を使って解決を図る動きはある。しかし、最新技術で解決が可能なのは一部の業界に限られている。そのため、多くの業界では外国人労働者の確保を唯一の解決策として、制度の導入を求めている。

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