トラックドライバー不足を「外国人労働者」で穴埋めしようとする発想の耐えられない軽さ
移民受け入れの是非が現実的な問題となっているなか、トラック業界でも外国人労働者導入に向けた本格的な検討が始まっている。そこに問題はないのか。
「特定技能」とは何か
協会が事業計画書でもうひとつ触れている「特定技能」とはどういうものか。これは、2019年に導入された制度で専門職の高い技術を持つ外国人を対象にした制度である。
この制度は技能実習と異なり、人手不足の解消や専門的な知識を持った外国人の受け入れを目的としたものだ。未経験で日本語の能力がなくても就労できる技能実習とは異なり、一定水準の技術や日本語の能力が要求される。
この制度では、既に外国人がタクシードライバーとして就労することも可能になっている。ただ、タクシーが可能だから、トラックドライバーの導入もスムーズに進むというわけにはいかない。
現在、外国人がタクシードライバーとして就労するためには、特定技能のなかで「特定活動46号」という在留資格を得る必要がある。この在留資格の要件は次のようなものだ。
●学歴
日本の4年制大学の卒業及び大学院の修了に限られる。短期大学及び専修学校の卒業並びに外国の大学の卒業及び大学院の修了は対象にならない。
●日本語能力
・I:日本語能力試験N1又はBJTビジネス日本語能力テストで480点以上を有する者が対象(※日本語能力試験については、旧試験制度の「1級」も対象となる)
・II:その他、大学又は大学院において「日本語」を専攻して大学を卒業した者についても、Iを満たす
●業務
日本語を用いた他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であり、学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれている、又は、今後当該業務に従事することが見込まれること。
このように、極めて高い能力がなければ外国人はタクシーのハンドルを握れない。ここまで高度な能力が求められている理由は、それ以外のことも想定されているためだ。