企業と戦わなくなった労働者たち 現代における「ストライキ」の意義とは? 千歳相互観光バス終日運休に見る、権利意識の欠如

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4月25日、千歳相互観光バスがストライキを行い、全路線が終日運休した。現在における、ストライキの“意義”とは何なのか。

減少し続けるストライキ

国鉄の5万人合理化に反対し12時間ストに突入。「スト突入」の張り紙を駅構内コンコースに張る労組員。愛知・名古屋市の国鉄名古屋駅。1968年9月12日撮影(画像:時事)
国鉄の5万人合理化に反対し12時間ストに突入。「スト突入」の張り紙を駅構内コンコースに張る労組員。愛知・名古屋市の国鉄名古屋駅。1968年9月12日撮影(画像:時事)

 昨今は、交通機関のストライキが行われるだけでニュースとして取り上げられる時代である。4月25日には、北海道千歳市で4路線を運行する千歳相互観光バスが、運転手の待遇改善やバス点検の法令順守などを求めて、24時間のストライキを行い、4路線が終日運休した。結果、2000人ほどの足に影響が出てニュースとなった。

 さて、現在における、ストライキの“意義”とは何なのか。

 まず、ストライキは日本でどの程度行われているのか。厚生労働省の「労働争議統計調査」はストライキやロックアウト、サボタージュなどを「争議行為を伴う争議」として分類している。その数は2021年度で55件で、参加人数は7858人。交通機関が含まれる「運輸業・郵便業」は6件のみとなっている

 この調査では、これまでの労働争議の件数も掲載している。1957(昭和32)年に999件だった労働争議はその後増加。1974年には9681件となっている。

 しかし、1980年代半ばから減少し、1991(平成3)年には1000件を割り込み935件まで減少。2009年には92件となり、減少は今もなお続いている。労働審判などで解決が図られる「争議行為が伴わない争議」も同じく減少傾向だ。

 つまり、雇用や待遇をめぐって会社と争う労働者が減っているのだ。

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