燃料電池車の本命は「大型トラック」 ホンダ・トヨタはなぜ他社との協業に注力するのか?
トヨタとホンダは燃料電池による大型トラックの実用化に向けての動きを加速させている。いったいなぜか。
インフラ構築への険しき道

もちろん完全な実用化とビジネスとしての商品化の前にはいまだ越えがたいハードルが控えている。それは燃料電池のための水素ステーションの整備である。
既述した通り、現時点での燃料電池大型トラックの実用航続距離は500km程度だ。この状態で安定して実用に供するためには、例えば高速道路のサービスエリアの多くに水素ステーションを建設する必要がある。それも短時間で複数の車両に補給可能な大規模な設備でなければ意味がない。
先の実証実験では走行可能距離600kmレベルの水素をタンクに補給するには15分ほど掛かると確認されたといわれている。補給待ちのトラックが列をなすようなことがあってはイメージ的にも悪い。
とはいえ、水素ステーションインフラ構築には膨大なコストが掛かる。ステーションまでの水素輸送システムの構築も必須である。
こうした高いハードルをいかにして越えるか。後は国家戦略の構築とその支援にポイントがあるといって良いだろう。課題のクリアはこれからだ。