私がどんな「燃料電池車」にも、いささかも同意できない4つの理由
FCVいまだメジャーにあらず

21世紀に入った頃、世の中の自動車の多くはハイブリッドを経て20年後くらいには燃料電池車(FCV。燃料電池内で水素と酸素の化学反応によって発電した電気エネルギーで、モーターを回して走る自動車)へと移行するのではないか、という見解が決して少なくなかった。
もちろん当時からFCV実用化へのハードルはそれなりに高いことは認識されていたが、いずれ時間が解決してくれるという、ハッキリ言って楽観的な観測がなされていた。
その後数年間で、実用性を備えたFCVがいくつかのメーカーで完成し、型式認定を取得。そのなかの数種類はリースという形ではあったものの、ナンバープレートを得た公道を走りだすこととなった。
高価過ぎた車両価格

筆者(矢吹明紀、フリーランスモータージャーナリスト)はそうした初期の公道走行可能なFCVのなかで、2004(平成16)年の日産エクストレイルFCVと2008年のホンダFCXクラリティという2種を、短時間ではあったものの公道上で実際に試乗した経験がある。いずれも自動車としての走行性能に問題はなく、市販車としての実用性能も十分に感じられた。
問題は高価過ぎた車両価格ゆえに、リースとしてしか成立し得なかった当時の事情であり、そこが解決できれば普及も進むというのが正直な感想だった。
その後、FCVは世代交代を経た最新型が市場で何車種か販売もしくはリース車として提供されている。トヨタMIRAI、メルセデスベンツGLC F-CELL、ヒョンデ・ネッソの各車である。
日本でのFCVの先駆者であったホンダ・クラリティ・フューエルセルは既に生産を終えており、2024年にはCR-Vをベースとした新型がリリース予定とアナウンスされている。
こうした最新型のFCVも伝え聞く話ではその走行性能と実用性に問題はなく、後は普及を待つばかりと言われている。