ADASデータで事故ハイリスク地点を検出 メルセデスとロンドン交通局が目指すもの

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ロンドン交通局とメルセデス・ベンツが「Mercedes-Benz Road Safety Dashboard」を開発した。運転支援システムのデータを活用し、事故が発生する前に、市内の事故発生リスク地点の検出を狙う。

「Mercedes-Benz Road Safety Dashboard」の仕組み

「Mercedes-Benz Road Safety Dashboard」の運用イメージ(画像:ダイムラーAG)。
「Mercedes-Benz Road Safety Dashboard」の運用イメージ(画像:ダイムラーAG)。

 ロンドン交通局(TfL;Transport for London)と、メルセデス・ベンツAGのアーバン・モビリティ・ソリューションズ(UMS)部門の率いるチームが2021年7月、共同で「Mercedes-Benz Road Safety Dashboard」を開発した。このデジタルツールによって、事故が発生する前に、ロンドン市内の事故発生リスクの高い場所を特定できる可能性がある。

 分析の元となっているデータは、運転支援システムのデータだ。車両は、超音波・レーダー・ステレオカメラなどのセンサーによって絶えず車両周辺の対象物を検出している。その検出範囲は、前を走る車両、横断している車両、後ろから近付く車両、対向車両などだ。そして車両以外にも、歩行者や様々な道路標示・標識も検出している。

 走行中に接近アラートや自動緊急ブレーキが作動すると、それをトリガーとしてメルセデスのクラウドにデータが送信され、匿名化される。そののち、二つのアルゴリズムがデータを処理する。

 まず、アラートまたは自動ブレーキなどの介入のログデータとそのGPS位置を識別する。

 次に、これらの潜在的な高リスク衝突スポットを徹底的に分析し、リスクスコアを計算する。この情報は統合され、ロードセーフティダッシュボード内にデジタルマップとして表示される仕組みだ。

 このようなサービスの前提として、データ保護は最優先事項だ。今回の場合は、運転者がアプリの「Mercedes me」を介して運転支援データの送信に同意した場合にのみ、アラートまたは自動ブレーキの介入データがクラウドに送信され、匿名で処理される。

多くのアラートによって生まれるパターン

 運転支援システムで匿名化されたリスク検知データは、ロンドンの既存のデータで強化される。すでに発生した衝突に関する信号や横断歩道の情報などの既存交通インフラに関するデータや、車両・自転車・歩行者の密度も含まれている。「Road Safety Dashboard」は、歩行者と自転車利用者の安全に主に焦点が当てられているため、学校・保育所・大学の周辺地域などがリスクが高いエリアとして優先されている。

 またメルセデスUMS部門によると、交通量の測定や滑りやすい道路の警告などの機能を「Road Safety Dashboard」に統合することも検討されており、ロンドンでのサービス展開ののち、欧州のいくつかの大・中規模都市でもプロジェクトが進行中であるとのことだ。