メルセデス「全車EV化宣言」の理由 躊躇する日米メーカーに先行 シフト加速を支える複数計画

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メルセデス・ベンツが、市場環境次第で2030年までにすべての自動車を電動化すると発表した。その背景と、EVシフト実現のために並行して世界規模で進められている複数の計画を解説する。

電動車「ファースト」から「オンリー」へ移行

メルセデス・ベンツの高級EVセダン「EQS580」(画像:ダイムラー)。
メルセデス・ベンツの高級EVセダン「EQS580」(画像:ダイムラー)。

 メルセデス・ベンツは2021年7月、市場の状況が整えば、2030年までにすべての自動車を電動化できるよう準備を進めていることを発表した。

 同社は2022年までに、すべてのセグメントでバッテリー駆動の電気自動車(BEV)を導入。2025年以降は、新たに発売されるすべての車両アーキテクチャーが電気自動車のみとなり、顧客はすべてのモデルで電気自動車を選択できるようになる。収益性の目標を維持しつつ、エレクトリック・ファーストからエレクトリック・オンリーへと移行し、この変革をさらに加速させていく動きだ。

 ダイムラーAGおよびメルセデス・ベンツAGの最高経営責任者(CEO)であるオラ・ケレニウス氏は、次のように述べる。

「EVへの移行は、特にメルセデス・ベンツが属するラグジュアリー・セグメントで加速している。転換点は近付きつつあり、市場は2030年までに電気自動車のみに切り替わる方向だ。この動きは大幅な資本の再配分につながる。我々は、収益性の維持を目指すと同時に、この急速な変化に対応することで、メルセデス・ベンツの永続的な成功を確固たるものにしていく。高い能力と意欲を持った従業員の存在によって、私は、このエキサイティングな新時代においても当社は成功すると確信している」

 このような電動化を促進するため、同社は研究開発の大幅な加速を含む包括的な計画を立てている。2022年から2030年までの間、BEVへの投資額は合計で400億ユーロを超える予定だ。EVポートフォリオ計画を加速させることで、EV導入の転換点の前倒しを狙う。

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