過積載で捕まるのは「ドライバー」ばかり! 確かに違反も、こんな状況を作ったのは誰だ? 荷主への警告形骸化に異を唱える
過積載は道路交通法違反(積載物重量制限超過)だが、基本的にはドライバーが罰則の対象者となる。再発を防ぐためにも、果たしてそれだけでいいのだろうか。
罰則対象はドライバー
「経営のために過積載するしかなかった」
2022年、栃木市で起きた過積載のダンプカーによる追突事故、事故を起こした会社社長は報道機関にこう語った。過積載による制動距離の長さを県警が認定、この事故により40代の女性が死亡した。事故現場は旧都賀町(つがまち)。交通の要衝が各所にあり、国道293号を筆頭にダンプカーの多く走る場所でもある。
過積載は道路交通法違反(積載物重量制限超過)だが、基本的にはドライバーが罰則の対象者となる。過積載の割合によって変わるが、5割未満で違反点数2点の反則金3万円、5割以上10割未満で違反点数3点の反則金4万円、そして10割以上が違反点数6点で反則金なしとなり、代わりに「6月以下の懲役または10万円以下の罰金」と定められている。
過積載は売り上げのためもあるが、所属する運送会社や顧客である荷主から強いられて、という場合もある。もちろんその場合、「過積載車両の運転の要求等の禁止」として運送会社や荷主にも別に罰則が適用されることもある。
しかし、例えば2017年の国土交通委員会では2015年の実績として
「協力要請を行ったのは26件ですが、警告書は0件、勧告は0件。過去に警告書を発したのも1件のみという実態」
が指摘されている。先に「基本的には」と書いたが、現在も多くが実際の運転者であるドライバーのみの責任として処罰されるのが現実である。