過積載で捕まるのは「ドライバー」ばかり! 確かに違反も、こんな状況を作ったのは誰だ? 荷主への警告形骸化に異を唱える

キーワード :
,
過積載は道路交通法違反(積載物重量制限超過)だが、基本的にはドライバーが罰則の対象者となる。再発を防ぐためにも、果たしてそれだけでいいのだろうか。

過積載そのものは減少

ダンプカー(画像:写真AC)
ダンプカー(画像:写真AC)

 このほかにもパタンコ(シート自動開閉装置)に細工したり、突入防止装置を切断したりと手口はさまざまだ。

 実際にそうした過積載のための違法改造を請け負う自動車整備工場が各地にあり、2023年1月には千葉県君津市の整備会社が道路運送車両法違反(不正改造)容疑で書類送検されている。同社社長の供述によれば、首都圏の運送会社100社以上が顧客で、約1300台の改造を請け負ったという。昭和や平成初期の話ではない、令和の話である。

「過積載しない運転なんてカラのときだけだ」

こうした軽口がまかり通っていた時代があったし、いまもそれは少なくない数、こうして組織的、構造的に引き継がれている。

 もっとも、さすがに貨物の過積載そのものは減っている。罰則や摘発が厳しいことと、やはり緑ナンバーであることが

「車両停止処分を食らってしまっては」
「運行管理者の資格を取り消されては」

という心理が働くのかもしれない。

 先の国会における審議などを経て、2017年12月より事業者や荷主に対する勧告措置や罰則が強化された。しかしそれでも「過積載しないと利益が出ない」と強行している業者はある。

 冒頭の事故を引き起こした業者のほか、2018年にも千葉市で約8tの鉄くずを積んでいた大型トレーラーが横転、巻き込まれた男女3人が死亡したが、これも過積載だった。

 過積載はときに、歴史に残ってしまうほどの事件を引き起こしてしまう。「たかが過積載」では済まないほどに。

全てのコメントを見る