下請けイジメ横行の運送業界 価格交渉すれば「代わりはいくらでもいる」と嘲笑、経産省「価格転嫁調査」でわかった“美しい国”ニッポンの現実
発注元からの圧力に耐える下請け
下請けの中小企業が発注元の大手企業から価格転嫁されていないか、価格交渉に応じてもらえているかの調査結果が経済産業省の中小企業庁から公表された。
アンケートによる回答の他、取引調査員(下請けGメン)による秘密保持を前提とした訪問とヒアリングによる調査結果であり、下請け中小企業から「主要な取引先」として挙げられた発注元企業がその結果に関わらず初めて実名で公開された。
後述するが、今回の最低評価は全業種通じて日本郵便で平均「0点」にも満たないマイナス評価であった。
「そういう調査と公表は続けてほしい。そもそもが自分たちの仕事なのに「あんたの企業努力でどうにかしろ」だもの。そうやって下請けに押しつける」
北関東で小規模の運送事業を営む経営者が語る。旧知の仲だが、このコロナ禍も含め、小さな事業規模でよく経営しているなと感心させられる。国土交通省によれば、誰もが知るような運送業者、201両以上のトラックを所有する大企業は日本の運送事業者の1%に過ぎず、残りの99%が中小零細企業となる。
さらにそのなかでも10両以下の零細企業(国交省による定義上の呼称)が
「半数以上」
となる。
私たちの日常の「当たり前」は中小零細によって成り立っていると言っても過言ではない。またその零細のなかでも所有車両1~2台で「ドライバー = 経営者」というオーナードライバーが多数を占める。
「1次から2次、3次でその下もある。水屋(仲介業者)もある。下請け孫請けはそういうもの、という常識が出来上がっている。あちこちプラットホーム化が進んでも、この構造だけは変わらないし、被るのは下、というのも変わらない」
こうした構造は運送事業に限った話ではなく、日本は全企業の99%が中小企業零細で、労働者の70%以上が中小零細企業に勤めている。