過積載で捕まるのは「ドライバー」ばかり! 確かに違反も、こんな状況を作ったのは誰だ? 荷主への警告形骸化に異を唱える

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過積載は道路交通法違反(積載物重量制限超過)だが、基本的にはドライバーが罰則の対象者となる。再発を防ぐためにも、果たしてそれだけでいいのだろうか。

荷主に及び腰な現況

ダンプカー(画像:写真AC)
ダンプカー(画像:写真AC)

 少し古いが、先の国土交通委員会ではこうした意見も出ている。

「東京都でいえば、ダンプカーのひとりの1日の運搬単価というのは5万円程度に上ると積算でされるんですけれども、この北区の事例の場合には1日当たり法定積載量であれば9000円程度、燃費だけでもう足が出てしまうという状況でした。実際に手元に残るものとしては、もうこれ最低賃金も大きく下回るような状況です。荷主が運転手の足元を見ている、公共工事の運搬単価から程遠く、燃料費すら賄えない単価では食べていけない状況があり、そこでやむなく過積載となっています。こういう違法行為を前提とするような低過ぎる単価契約自体に問題がある」

 過積載は悪質な違反である。しかし繰り返されてしまう。

 荷主に対する警告書も形骸化している実態がある。違反行為に関与が認められるかどうか曖昧なことが多く、荷主勧告には至らない。そして最終的にはいまもドライバーがかぶる。それはときに多くの人々を巻き込む事故につながる。

 過積載で捕まるのはドライバーばかり。しかしそのドライバーが過積載で走らざるをえない状況を作り出しているのは誰か。

 荷主を中心とした背後責任に対してはいまだ及び腰、という状況を是正しなければ、いまだドライバーばかりに責を押しつけても悲しいかな、過積載による悲劇はこれからも繰り返されてしまうだろう。

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