中国CATLがナトリウムイオン電池発売へ 技術課題をどのように解決?
中国のCATLが、ナトリウムイオン電池とリチウムイオン電池を一つのパックに統合したABバッテリーパックソリューションを発表した。低いエネルギー密度など実用化のハードルをクリア。次世代ナトリウムイオン電池の開発目標もすでに設定している。
資源豊富なナトリウム
中国の寧徳時代新能源科技(CATL)は2021年7月29日(木)、自社初のオンラインイベント「Tech Zone」を開催し、ナトリウムイオン電池とリチウムイオン電池を一つのパックに統合したABバッテリーパックソリューションを発表した。
カーボンニュートラルが世界の潮流となり、新エネルギー産業は複雑かつ多様な発展段階に入った。市場の細分化が進むにつれて、バッテリーの差別化も求められている。それに伴い、バッテリー基礎材料の研究開発が世界中で加速しており、中でもCATLが手掛けるナトリウムイオン電池の実用化に注目が集まっている。
ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池と同様の動作原理であり、イオンが正極と負極の間を往復する構造だ。しかしナトリウムのイオンはリチウムのそれよりも大きく、安定性に課題がある。またエネルギー密度が低いことも実用化の大きなハードルとなっている。
一方でリチウムイオン電池は、優れた性能を有するものの、近年リチウムの急激な需要増に対して、世界でも限られた採掘地域への環境破壊の懸念が高まっており、今後長年にわたる安定供給には不安が残る。
ナトリウムは世界中で豊富に存在する資源であり、ゆえにナトリウムイオン電池は、乗用車ほどの性能を必要としない低速型モビリティ向けや、重量の制約が少ない定置型バッテリーへの利用が想定されていた。