リチウムイオンの次はフッ化物と亜鉛負極 EV用「次世代蓄電池」NEDOが開発着手

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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が、リチウムイオン電池を性能・生産コストの両面でしのぐ「革新型蓄電池」としてフッ化物電池と亜鉛負極電池の研究開発に着手した。

「全固体リチウムイオン電池の次」狙う

開発するフッ化物電池と亜鉛負極電池(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構)。
開発するフッ化物電池と亜鉛負極電池(画像:新エネルギー・産業技術総合開発機構)。

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2021年6月3日(木)、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)に搭載されているリチウムイオン電池(LIB)を性能・生産コストの両面でしのぐ、「革新型蓄電池」の研究開発事業を始めたと発表した。

 EV・PHEV向けとして早期に実用化して自動車産業や蓄電池産業の競争力維持・向上につなげることを目指し、「フッ化物電池」と「亜鉛負極電池」の研究開発に着手。産学官で材料開発から電池設計・試作、特性評価・解析まで対応する共通基盤技術の研究開発に取り組む。事業総額は110億円から120億円。2021年度から5年計画で進める。

 ガソリン車から電動車へのシフトが本格的に始まる一方で、車載用バッテリーの高い生産コストが普及への課題となっている。

 しかし有機の電解液を用いるLIBは発火リスクがあり、エネルギー密度を高めるほど安全性の課題のハードも高くなる。また、LIBを含むバッテリーパックは、車両コストの3分の1を占めるともいわれている。LIBに使われるリチウムやコバルトはレアメタルで、安定的な調達に懸念がある。

 現在の液体LIBに続き、2020年代半ば以降は全固体LIBが普及するとみられるが、NEDOはさらにそれを上回る性能の蓄電池を開発し、ポスト全固体LIBを狙う。

 具体的には、「エネルギー密度と安全性のポテンシャルや日本のオリジナリティが高い」(NEDO)というフッ化物電池と、「安全性に大きなメリットがあり低コスト化にも有利」(同)な亜鉛負極電池の2種類をターゲットとする。

 ただし両種類とも目標達成に向けた難易度は極めて高いとのこと。そのためこの取り組みは、先端的な材料科学や高度な解析技術を持つ大学・公的研究機関と、車載用バッテリーの開発・実用化で豊富な実績を持つ蓄電池メーカー、エンドユーザーとなる自動車メーカーなど産学官連携で展開。NEDOはこれらプレーヤーの英知を好循環させるマネジメントを行い、技術的なブレークスルーの創出を目指すとしている。

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