「持続可能なリチウム採掘」VW・ダイムラーらが連携 責任ある管理の枠組みを作る背景は
フォルクスワーゲングループやダイムラーなど4社が、チリ・アタカマ塩湖のリチウムを含む天然資源に対して、持続可能な採掘パートナーシップを立ち上げた。この業界横断的な取り組みには、どのような背景があるのだろうか。
責任ある資源開発への取り組み
フォルクスワーゲン(VW)やダイムラーらが、「責任あるリチウムパートナーシップ」を立ち上げた。チリのアタカマ塩湖で、リチウムを含む天然資源に対して責任ある管理に取り組んでいくことを目的としている。
この業界横断的なパートナーシップは立ち上げ当初から、VWグループ、ドイツの総合化学企業であるBASF、ダイムラー、サステナブル(持続可能)なスマートフォンの生産に取り組むフェアフォンの4社が共同で出資している。現地の関係者間の対話を促進し、そこで生み出された科学的な事実を総合的に扱い、参加型の方法で解決策を模索することが狙いだ。
ご存じの通り、EV(電気自動車)のバッテリーは現在リチウムイオンが主流となっており、レアメタルの中でも特に、リチウムとコバルトの調達が課題として浮上している。EVのバッテリーは、ハイブリッドの50~100倍以上もの大容量であり、各社のEV生産計画もこの先2~3年で急激に拡大することが見込まれるため、素材の調達もそれだけ喫緊の課題となっているのだ。
しかし、レアメタルの採掘や精製には、自然環境へのネガティブな影響が必ずついて回る。経済の原理だけを優先し、急激な資源開発を推し進めることはあってはならず、サステナブルな資源開発に取り組んでいかなければならないというのが世界の共通認識である。