国内に大型蓄電池工場 船で洋上風力の電力を輸送 パワーXが描く蓄電池戦略

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ZOZOの元COOが社長を務めるパワーXが、新事業として電気運搬船の開発と、国内への大型蓄電池工場の建設を発表した。ケーブルの代わりという船のメリットや、製造を計画するEV急速充電用電池などについて社長が語った。

工場の年間生産は2028年までに5GWh

EV急速充電用電池(画像:パワーX)。
EV急速充電用電池(画像:パワーX)。

 洋上風力で作った電力を蓄電し、陸上の変電所まで船で運ぶプロジェクトが始まる。

 2021年3月に設立されたばかりのパワーX(東京都港区)が8月18日(水)、自然エネルギーをめぐる事業を始めると発表した。

 洋上風力発電所で作った電力をバッテリーに蓄電し、自社開発の電気運搬船「Power ARK」で、陸上の変電設備まで無人で運搬する。電力を船で運ぶことで、発電所を設置する際の掘削などが不要となるほか、発電所の設置場所の自由度も大きく向上。外国への電力輸送も可能となるという。

 電気運搬船「Power ARK」は、2025年までに初号船を開発する。ZOZOの元最高執行責任者(COO)で現・パワーX代表取締役社長の伊藤正裕氏は「船はケーブル代わり」と表現する。陸と着床式の洋上発電所を結ぶ「送電」の役割を海底ケーブルから船にすることで、発電所を設置できる「沖」の範囲も、現在の「陸から30km」より広い「陸から300km」まで広がるという。日本の近海は水深の深い場所が多いが、範囲が300kmだと設置場所の選択肢が広がるという。

 船には蓄電池100個(220MWh分)を積載する。航行は電気のみと、バイオ燃料などを併用する仕様の二つを用意。電気推進だと300km程度、バイオ燃料などと併用すると長距離に対応し、大陸間の電気輸送も可能になる。

 あわせて、日本国内に大型蓄電池工場「Power MAX」を建設する。2024年までに1GWh、その後毎年1GWhずつ増やしていき2028年までに毎年5GWhの年間生産量を計画。船舶用(3000kWh)、グリッド用(3000kWh)、EV急速充電用(300~900kWh)などの大型蓄電池の製造・販売を行う。大量製造することでコストを下げ、今後の蓄電池需要に対応する。

 EV急速充電用電池は、ミニバンくらいの大きさで出力は最大300kW。移動可能、工事不要で通信機能も搭載する。伊藤社長は「電池なので持ってきて置くだけ。普段消費者として訪れるコンビニなどで、10分で急速充電できる。IoTでつながり『移動できる充電ネットワーク』とする。お盆の帰省ラッシュに、高速道路のSAに40台設置できる」といった弾力的な運用が可能であることをEV急速充電用電池の利点として挙げた。

 電気運搬船や大型電池工場への投資額は、100億円前後という。