「大型トラックの最高速度を100kmに」 国民・玉木代表の発言が現場知らずの「甘ちゃん」である3つの理由
100km/h化で「経営メリット」あるのか

そもそも、現在の大型トラックは100km/hで走行するように設計されていない。
現在の大型トラックのギアは、エコドライブ、すなわち低燃費を実現するために、乗用車の感覚から言えば、極めて低いエンジン回転数で走行するように、多段化・クロスレシオ化され、最高速度80km/hを前提に設計されている。
エコドライブが運送業界内で注目され始めたのは、2010年前後だったと筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)は記憶している。注目された理由は、環境意識というよりも
「燃料費削減効果」
である。
従来の走行に比べ、エコドライブを意識し、低いエンジン回転数を維持し走行すると、1台あたり年間100万円を超えるような燃料費削減効果が得られる事例が、当時次々と公表され、トラックメーカーやコンサルティング会社が宣伝したのだ。もちろん、今の大型トラックでも、リミッターをカットすれば100km/h走行は可能だ。ただ、燃費は悪くなり、運送会社の収益を悪化させる一因になりかねない。
また大型トラックの最高速度を引き上げるのであれば、100km/h走行に適したギア比に加え、衝突被害軽減ブレーキ、車線逸脱防止支援システム、ドライバー異常時対応装置などの最新安全支援装置は必須だろう。
問題は、100km/h対応のために、このような最新装備を備えたトラックに買い替えるほどの
「経営メリット」
があるかどうかである。
こと2024年問題対策であれば、
「最高速度を上げて、走行時間の短縮を図るよりも、荷役時間や待機時間をなんとかしてほしい」
と考える運送会社も少なくないだろう。
1台1000万円以上する大型トラックを買い替えるのは、楽ではない。
「高速道路の最高速度を100km/hに緩和しました。さあ、皆さん、トラックを買い替えてください」
と言われたところで、おいそれと対応できるほど、運送会社の懐は豊かではない。