タクシー運転席のドア開き「自転車衝突事故」 あなたはその危険性を知っているか?
車両を止めたときが危険

車を運転していて一時停止や右折のとき、人は慎重になるが、車両を止めたとき注意が散漫になりがちだ。降車するとき、周囲をよく確認せずにドアを開けて「ヒヤッ」とした経験のある人は少なくないだろう。
開いたドアが、自転車や乗用車に当たったらどうなるのか。いうまでもなく、取り返しのつかない大事故となる。
そんな降車時のドア開け事故は、どのくらいあるのか。また、万が一この事故を起こしたときはどうなるのか。
2月に目黒区で起きた悲劇

東京都目黒区で2023年2月17日、自転車に乗っていた男性が停車中のタクシーの開いたドアに接触、転倒し、その直後、後続のバスにひかれて亡くなる事故が発生した。
ドライバーはラゲージサービス(乗客の荷物をトランクに入れるサービス)を行う際に後方確認せずドアを開けたため、事故が起こってしまった。
このことは、ハンドルを握る者にとって決してひとごとでない。
なお、降車時のドア開けについては
●道路交通法第71条「運転者の遵守事項」の第4号の3
安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること
と、道路交通法にきちんと明記されている。
死亡事故の1割強が「安全不確認」

また、2020年の交通死亡事故発生件数を法令違反別(第1当事者)に見ると,安全運転義務違反が54.3%を占め、なかでも
・運転操作不適:14.5%
・漫然運転:13.6%
・安全不確認:11.6%
・脇見運転:8.8%
が多くなっている。
ドア開けによる交通事故は「安全不確認」のなかに含まれている。
たとえドアが当たらなくても、ドアを避けようとして車線に膨らめばはねられる可能性がある。ドア開けによる当事者が加害者になるだけではなく、はねた者を新たな加害者として生み出してしまう、二重の恐ろしさがある。