客を無視した「空車タクシー」が乗車拒否にならないワケ
タクシードライバーは原則として運送の引き受けを拒絶することはできないが、例外もある。その例外について解説する。
「乗客拒否」に目くじらを立てる人たち
路線バスで双子用ベビーカーを乗車拒否された……。タクシーに車椅子に座ったまま手を上げたら、誰も止まってくれなかった……。タクシーやバスに乗車拒否されたということがメディアやSNSで話題になることがよくある。
「空車のタクシーに手を上げたのにスルーされた。これって乗車拒否じゃないの」というツイートが、以前話題になった。有名人のツイートだったこともあり、関心を集めた。確かに、その時の状況によっては、「面倒くさいから」あるいは「厄介な事になりそうだから」と気付かなかったと言わんばかりに目を合わさず、通り過ぎるタクシーも中にはいる。しかし、そのツイートだけで乗車拒否と決めつけるのはどうだろうか。その場所や背景によっては、タクシードライバーを責められないこともある。
タクシードライバーは,法令所定の事由がない限り,運送の引き受けを拒絶することはできない。ドライバーの気分や、乗客の容姿、好き嫌いだけでは、乗車を拒否できない。これは道路運送法13条と旅客自動車運送事業運輸規則13条に定められている。
その違反に対しては100万円以下の罰金が科せられたり(道路運送法98条6号)、違反した営業車両に対して営業停止の措置が取られたりすることもある。個人だけではなく、会社にもその損害が及ぶのだ。