戦車の高性能化を支えたのは「航空機技術」だった! ミリオタ以外も知っておくべき、教養としての技術史

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米国のクリスティM1931戦車は400hpの航空機用エンジン「リバティ」が採用されていた。いったいなぜか。

クリスティM1931の高速性能

クリスティM1931戦車
クリスティM1931戦車

 このクリスティM1931の高速性能と高い機動性は世界中の戦車技術者と軍事関係者を驚かせた一方、実戦用兵器として高く評価する人物は多くはなかった。

 というのも機動性は高い方が良かった一方で、より重要だったのは装甲の強固さというのが当時の考え方の主流だったからである。

 そうしたなか、最も厚い車体前面でも13mm程度、側面は6mm程度の装甲厚しか無かったクリスティM1931は戦車としてはもろく見えたのである。さらに当時は戦車を単独もしくは複数で機動的に運用するという考え方はほぼ無く、多くの国であくまで歩兵の盾として戦場を移動することがその任務だった。

 こうしてクリスティM1931は本家の米国陸軍ではT3戦車として少数が試験運用されただけだった。その一方、この戦車に注目したのが当時機甲部隊の育成に熱心だったソ連。そして巡航戦車という新たなカテゴリーで高速性能を重視した戦車を模索していた英国だった。

 ちなみに1930年代初めから半ばの時点での米国は武器輸出についてはかなり規制が厳しく、ソ連も英国もそれなりに苦労の後にクリスティの技術を導入。ソ連ではまずM1931のデッドコピーだったBT-2が実用化された。BT-2のエンジンはリバティのソ連生産型であるM5だった。英国では少し後にクリスティ型のマークIII巡航戦車が完成。これもエンジンはリバティをライセンス生産したものだった。

 これらソ連と英国における初期のクリスティ型戦車は機動性には優れていた一方でやはり装甲の薄さがネックとなり現場での評価は余り良いものではなかった。しかしソ連ではBTを地道に進化させた後に、さらに強力な航空機用エンジンであるイスパノスイザを原型とするV2型V型12気筒ディーゼルエンジン(500hp)を装備したT-34を実用化し第2次世界大戦で大成功を修める。

 同じく英国ではマークIVからカヴェナンターを経て、クルセーダーへと進化。さらに第2次世界大戦中に完成したクロムウェル、セントー、コメットといったモデルではエンジンをロールスロイス製の名作航空機エンジンであるマーリンを陸上用に仕様を改めたV型12気筒ガソリンのミーティア(600hp)を装備した。

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