山形県の田舎町に「EV・自動運転」専門大学が誕生 一体なぜこんな場所に? ニーズの深淵をのぞいてみた
2023年春、山形県の飯豊町に誕生する新設校「電動モビリティシステム専門職大学」。電気自動車や自動運転の技術開発者を輩出するための教育機関はなぜ今開校するのか。
そもそもなぜ「山形県飯豊町」に?

山形県飯豊町(いいでまち)に2023年4月、「電動モビリティシステム専門職大学」という新しい大学が設けられる。同大は将来、電気自動車や自動運転の技術開発者を輩出するといった重要な役割を担う。
学長は、これまでさまざまなEV車両開発に携わってきた慶応大学名誉教授の清水浩氏。同氏は「もしあなたが温暖化の問題を自分の手で解決したいと願い、将来は夢のある仕事に就きたいと望み、そして乗り物やロボットが好きだったら、ぜひ電動モビリティシステム専門職大学で学んでください」とコメントしている。
一体なぜ、自動車に特化した新たな教育機関が誕生するのか。さまざまな観点からひも解いていこう。
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そもそも、なぜ開校の地に「山形県飯豊町」が選ばれたのか? その理由は、豊かな自然を生かしつつ、現代の環境保全志向に合った活動を行うためという。
町全体の8割超を山林が占めている同町。これを有効活用し、再生可能な資源にする「木質バイオマス製造」に力を入れている。ほかにも、肥育している牛の排せつ物から発せられるメタンガスを利用して発電する「バイオガス発電所」も稼働している。
さらに、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーにも積極的に取り組み、2008(平成20)年にはNPO法人「日本で最も美しい村」連合に加盟。同町にとって自然景観の保全に対する取り組みは、こうした一定の積み上げによるものでもある。