山形県の田舎町に「EV・自動運転」専門大学が誕生 一体なぜこんな場所に? ニーズの深淵をのぞいてみた
2023年春、山形県の飯豊町に誕生する新設校「電動モビリティシステム専門職大学」。電気自動車や自動運転の技術開発者を輩出するための教育機関はなぜ今開校するのか。
AI教習所、今後は路上運転も?
一方、自動運転に関しては「自動車教習所の存在」がカギを握る。
AIによる自動運転が実現すれば、いずれは運転免許が不要になる可能性もある。仮にそうなれば、必然的に自動車教習所と教習指導員の需要も減っていくだろう。
現状、教習指導員の人員数は右肩下がりだ。警視庁発行の「運転免許統計」によると、自動車教習所の教習員を指す技能検定員・教習指導員・副管理者の合計数は、2000(平成12)年時点で4万1481人だったが、2020年には3万1325人にまで落ち込んだ。
こうした事態に対応すべく、近年一部の教習所では「AI教習車の導入」が進んでいる。教習車にセンサーやAIを含んだ特殊な機器を搭載し、ドライバーの操作を車内カメラがチェック、データ化しスコア表示する。運転ミスが生じたら、警告音が鳴るシステムだ。教習終了後は映像データを確認できるため、課題点を把握しやすい。
ただし現状では、AIによる教習は敷地内で行われる「第1段階」のみであり、第2段階の路上教習は通常通りである。将来的には路上教習も視野に入れているが、自動ブレーキなどの安全性や公道走行できるか否かの制度面などの課題点もある。
以上、こうした課題の解消・解決に向けて、このたびの専門職大学の開校に掛かる期待は決して小さくないだろう。