山形県の田舎町に「EV・自動運転」専門大学が誕生 一体なぜこんな場所に? ニーズの深淵をのぞいてみた

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2023年春、山形県の飯豊町に誕生する新設校「電動モビリティシステム専門職大学」。電気自動車や自動運転の技術開発者を輩出するための教育機関はなぜ今開校するのか。

EVと自動運転が抱える重要課題とは

 CASEは、ご存じの通り「今後の新しいクルマのコンセプト」を表す。自動車がインターネット接続(Connected)を通じて道路情報を随時取得しながら、自動運転(Autonomous)を行う。そして将来的にはクルマを所有するのではなく、使い分けあう(Shared&Service)ことで維持費を安く抑える。さらに、環境に優れたハイブリッドカーや電気自動車(Electric)を推進するという意味も含む。

 経済産業省は2020年、「CASE技術戦略プラットフォーム」を発表した。これは、CO2排出量の削減を前提として、燃料電池やパワー半導体の技術および生産性向上を目的とする「電動化技術」や、先進運転支援システムなどをはじめとする「AD/ADAS・コネクテッド技術」など、さまざまな観点から環境保全を狙っていく研究会である。

 CASE実現に向けて、自動車業界のみならず異業種も動いており、いまや世界各国でCASE実現を目指して開発が進行中だ。

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 ここで本題に戻る。先述の通り、CASE実現に向けて自動車業界は電気自動車と自動運転の開発を進めている。しかし、それぞれには課題が残されている。

 まず電気自動車においては、対応できる自動車整備士が少ないことが挙げられる。日本自動車整備振興会連合会(JASPA)の報告によると、2021年度時点の自動車整備士は33万4319人で、前年度比較では1.6%減と、減少傾向にあるのだ。

 整備士不足は、少子高齢化や労働環境、若者のクルマ離れなどさまざまな要因をはらんでおり、都市部・地方関係なくどの整備工場も抱えていると言われるほど深刻な問題だ。

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