メルセデス「全車EV化宣言」の理由 躊躇する日米メーカーに先行 シフト加速を支える複数計画
事業運営リソースの最適化
内燃機関からEVへの移行は、すでに実現可能性の高いものであり、実際に進行している。同社では従業員の大規模なスキルアップ計画や早期退職によって、労働力の転換を続けている。
例えば、テック・アカデミーによる資格取得のための研修を利用しており、2020年だけでも、ドイツ国内の約2万人の従業員がe-mobilityに関するトレーニングを受講した。また、MB.OSの開発計画を実現するため、全世界で3000人のソフトウェアエンジニアリング職のポストが新たに創出される。
財務計画については、同社は引き続き2020年秋に設定した利益率目標に取り組んでいる。2025年までにハイブリッド車と電気自動車を25%販売するという前提で設定されていたが、本日の再発表では、2025年までのxEV(EV/PHEV/HV/FCV)のシェアを最大50%と想定し、2030年までにEVに完全に切り替わる市場シナリオを基にしている。
メルセデス・マイバッハやメルセデスAMGのようなハイエンドのEVの比率を高め、同時に価格と販売をより直接的に管理することで、1台あたりの純収益を増加させることを目指す。
また、デジタルサービスによる収益の増加が業績をさらに支えることとなるだろう。そして変動費・固定費のさらなる削減や、投資に占める設備投資の割合の削減にも取り組む。バッテリープラットフォームの共通化や定量化可能なEVプラットフォーム、バッテリー技術の進歩との相乗効果により、より高度な標準化と低コスト化がもたらされるだろう。結果として、1台分のコストに占めるバッテリーの割合は大幅に低下すると予想される。
資本配分はEVファーストからEVオンリーへと移行し、内燃機関とプラグインハイブリッド技術への投資は、2019年から2026年の間に80%減少すると考えられる。これに基づき、同社では、バッテリーEVの領域での利益がエンジンの時代と同等になると予測している。
オラ・ケレニウスCEOはこう述べる。
「この変革における私たちの使命は、魅力的な製品の力で、お客様に納得して新製品への移行をしていただくことだ。メルセデス・ベンツにとって、先駆的なフラッグシップモデルであるEQSは、この新しい時代の始まりに過ぎない」