北陸新幹線「福井延伸」 時間短縮の利便性に隠された地方都市の現実、そもそも県民「遊びにいくのは金沢」のホンネ
北陸新幹線の時短効果は大きい。2024年春の敦賀までの延伸後は、金沢~新大阪間は現在の2時間33分から、2時間3分と30分の短縮になる予定だ。
福井県民いわく「遊び先は金沢」

ここで気になるのは、接続調整による利便性は
「東西どちらを向いているか」
ということだ。
サンダーバードの運行本数を見れば一目瞭然だが、福井県は関西圏との結びつきが強い。2021年10月から2022年9月までの1年間で福井県内から県外へ転出した人は合計1万6421人。うち、
・大阪府:1481人
・兵庫県:592人
・奈良県:102人
となっている。
しかし、福井県は「関西圏の一部」である一方で
「北陸三県の一部」
という側面も強固だ。
これまで筆者(業平橋渉、フリーライター)が地元で取材したところ、多くの人が就職・進学で移動する先として関西圏をあげる一方、
「遊びにいくのは金沢」
というのである。新快速が走る敦賀までは遊びにいくのも関西圏だが、それ以東になるとたいていの人が金沢へいくのだ。県庁所在地である福井市でも、である。
さまざまな方策が検討されている敦賀延伸後の移動の利便性確保だが、この実体はどこまで反映されるのか。関西圏ばかりを重視すれば北陸三県の経済的な結びつきが崩壊することにもなりかねない。