北陸新幹線「福井延伸」 時間短縮の利便性に隠された地方都市の現実、そもそも県民「遊びにいくのは金沢」のホンネ

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北陸新幹線の時短効果は大きい。2024年春の敦賀までの延伸後は、金沢~新大阪間は現在の2時間33分から、2時間3分と30分の短縮になる予定だ。

蒸し返されるフリーゲージトレイン

フリーゲージトレイン(画像:国土交通省)
フリーゲージトレイン(画像:国土交通省)

 これを踏まえ、福井県ではJR西日本との間で特急存続を求める協議を実施したものの、2021年6月に打ち切りとなった。JR西日本が難色を示し、福井県も収入が減少すると試算されたためだ(現行の特急すべてを乗り入れた場合、年間7億円が減少)。

 さらに、福井県では代替案として関西圏から敦賀駅まで運行されている新快速の延伸を要望したものの、敦賀以北に約140億円を投じて直流化する必要があるため、こちらも断念せざるを得なかった。

 特急も新快速も不可能となったことで、福井県では敦賀延伸にあたって導入が検討されていたフリーゲージトレイン(異なる軌間を直通できるようにした列車)を断念した国の責任を問う声が、自民党県議からもあがっている。

 すでに消滅した構想であるフリーゲージトレインが蒸し返されるあたり、沿線の利便性確保が

「地域の死活問題」

になるという意識が共有されていることがわかる。

 ハピラインふくいでは2024年春以降、福井~敦賀間の運行本数を現行の1日102本から126本に増便する経営計画を策定している。増便にあたっては快速列車も設定、新幹線や敦賀駅での特急・新快速の接続も調整される見込みだ。

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