「持続可能なリチウム採掘」VW・ダイムラーらが連携 責任ある管理の枠組みを作る背景は

キーワード :
, , , , , , , ,
フォルクスワーゲングループやダイムラーなど4社が、チリ・アタカマ塩湖のリチウムを含む天然資源に対して、持続可能な採掘パートナーシップを立ち上げた。この業界横断的な取り組みには、どのような背景があるのだろうか。

採掘現場の環境保全が求められている

 リチウムは、鉱石から生産する方法と鹹水(かんすい、塩湖の水)から生産する方法があり、鹹水からの生産の方がコストが低いとされる。アタカマ塩湖は、世界最大のリチウム埋蔵量を誇り、生産量は全世界のほとんどの割合を占めているが、生態系は脆く、リチウム採掘やその他の経済活動の影響とリスクに関するコンセンサスは得られていない。水や塩水の水位変動に起因する潜在的なリスクは、生態系に悪影響を与え、地域の生活に影響を与える可能性がある。このような水にかかわるリスクを効果的に対処するには、関係者の協力が不可欠だ。

 ドイツ国際協力公社(GIZ)は、4社からの委託を請け、先住民族を含む市民社会グループ、政府機関、鉱山会社など塩湖流域のすべての関係者が参加するマルチステークホルダープラットフォームを構築し、共通の認識を得るためのパートナーシップをコーディネートした。

 このプラットフォームは、アタカマ塩湖流域の現状に対する理解と、将来に向けた共通のビジョンを展開し、さらに、長期的な天然資源の統合管理を改善し、第一段階の実施措置を実行するための行動計画を共同で策定することを目的としている。

 そのほかにも、利用可能な技術データを統合・検証し、必要に応じて改善し、アクセス性を高める目的がある。「責任あるリチウムパートナーシップ」 は、2021年春に2年半の計画で開始される。ちなみにこの計画では、リチウムの調達およびいかなる原料鉱物の購入または販売促進を意図していない。

現地政府や市民も巻き込んだ取り組み

 BASF、ダイムラー、フェアフォン、VWグループは、原料の調達と生産に関する人権保護を含むサプライチェーン全体での責任を認識している。それゆえ、持続可能な開発を促進し、潜在的な悪影響の抑制に貢献し、人権保護の強化を目的とした「責任あるリチウムパートナーシップ」の立ち上げにつながっている。

「責任あるリチウムパートナーシップ」は、今日の高度な相互関係にあるバリュー・チェーンにおいて、責任ある企業の行動がビジネス・パートナーとの協力だけでなく、政府や市民社会との建設的な取り組みにも依存していることを意味している。つまり、アタカマ塩湖の共同ビジョンにおいて、すべての現地の関係者を結び付て全体的なアプローチを目指すパートナーシップなのである。

 また、原料のサプライチェーンに関するVW主体の人権保護活動の一環でもある。活動はすべて、VWグループ初の「2020年度責任ある原料報告書」にまとめられている。この報告書は、OECDガイドラインに基づいて作成された報告書であり、責任ある原料調達の分野における2020年の会社の活動の概要を示している。

全てのコメントを見る