バイクは100%EV化せず? ヤマハの懸念 走る楽しさは両立できるのか

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ヤマハが製品の新たなCO2削減目標を打ち立てた。モーターサイクル分野については2050年までに90%を電動化する構え。しかし実現には物理的にも、心理的にも大きな壁がある。

CO2削減新目標をヤマハ発表 「本丸」のバイクはどうなる

ツーリングのイメージ(画像:kesu87/123RF)。
ツーリングのイメージ(画像:kesu87/123RF)。

 ヤマハ発動機が2021年7月19日(月)、報道陣向けの環境技術説明会を開催し、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を目指す新たな目標を発表した。モーターサイクル分野においては、段階的に電動化比率を引き上げ、2050年までには90%をBEV(バッテリーEV)にするという。

 これにあたり、三輪の小型EVや、三輪立ち乗りモビリティなど、従来の四輪車や二輪車がカバーしない小型モビリティを拡充し、環境負荷の少ない移動手段への乗り換えを推進するとした。

 通常のバイクについても、バッテリー内蔵型、バッテリー脱着型それぞれのプラットフォームを発表している。ただ、これらはスクーター型のイメージ画像が示すとおり、排気量相当ではそれほど大型なものではない。「125cc以下の置き換えが可能なところからEV化を進める」との発言はあったが、それ以上のサイズのバイクについては、具体的にいつ、どのように電動化していくかという点は言及されなかった。

 バッテリー脱着型のバイクについては、ホンダがすでに商品化で先行している。今後に向けて、ヤマハ、ホンダ、カワサキ、スズキの4社で共通規格も策定しているが、その進捗について日高祥博社長は「(製品化の)時期は申し上げられない」と記者からの質問を突っぱねた。背景には、業界全体で共通の危機感があるようだ。

「バッテリーの調達は、二輪業界としては大きな課題になる。これから必要になるバッテリーの数量は現在の8倍だ。(四輪と比べて)少量のバッテリーをいかに調達していくか、個社がバラバラやっても確保できないという危機感がある。みんながそれを使う方向性でなければならない」(日高社長)

 脱着型バッテリーに限らず内蔵型バッテリーについても日高社長は、「パッキングはメーカー独自でも、セルは共通になるかもしれない。共同の調達もあり得るのではないか」との見方を示した。

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