配膳ロボからキャンピングカーまで! 医療現場でモビリティが活用されるワケ

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新型モビリティ導入は医療現場にも訪れている。早速いくつか紹介していこう。

導入進む配膳ロボット

香川大学で導入されたBellaBot(画像:SGST)
香川大学で導入されたBellaBot(画像:SGST)

 2020年の新型コロナウイルス感染拡大で、多くの人が医療現場の人手不足を知った。医療現場は圧迫し、同時に感染予防のため対人接触のない環境が求められてきた。

 2022年12月、香川大学医学部付属病院で配膳ロボット「BellaBot」が採用されたことが話題となった。大学病院内の配膳ロボット導入は日本国内でも初めての試みで、人手不足による省人化や作業効率の改善が期待されていた。一方、

「車いすやつえを利用している患者とのトラブルにならないか」

という不安もあったが、結果的にトラブルもなく、患者・現場スタッフともに好評で、正式採用されることになった。

 BellaBotが食事を座席まで運び、下膳も洗い場まで自動搬送するというオペレーションになっている。配膳作業にかかる人員削減だけでなく、食事以外でも病院備品における運搬での活用も期待されている。

IT活用で「スマートなホスピタル」目指す

ロボット複数台を運用(画像:藤田医科大学)
ロボット複数台を運用(画像:藤田医科大学)

 医療現場でのロボット活用は以前から、注目を集めてきた。少子高齢化が進んで、医療に対する需要の増加が見込まれていたからだ。しかし患者の状態は日々変化するため、医療現場という環境にどれだけロボットがなじめるのかが課題となっていた。

 そこで、藤田医科大学(愛知県豊明市)と川崎重工業(東京都港区)が共同で展開しているのが医療スタッフとロボットが連携した医療だ。医療業務向け近未来モビリティ・サービスロボットの導入を、段階を踏んで実証実験を重ねながら進めてきた。

 同実験で開発されたのは、双腕で、ディスプレーが顔にもなるアーム付きサービスロボットだ。エレベーター操作や引き戸の開け閉め、カーテンを開けずに患者の様子を撮影してスタッフステーションに送信するなどの動作も可能だ。より多様化された運搬作業をこなしたり、表情の表示の仕方を工夫したりすることでリモートコミュニケーションの役割も求められている。

 サイズは約55cm(幅)×55cm(奥行き)×140cm(高さ)で、小型化にもこだわった設計だ。診療や治療、リハビリなどの「人でなければならない行為」は専門スタッフが注力し、検査や輸送はロボットが代替可能な範囲で担うことで、“医療資源を大事に、効率的に使う”ことを目標にしている。

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