東急の「歩行補助ロボット」実験が大きく期待される理由

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ホームドア設置などバリアフリーの各種取り組みを進めてきた東急電鉄が、歩行補助ロボットの実証実験に乗り出した。その狙いを解説する。

誰もが利用しやすい環境へ

「curara」の使用イメージ(画像:東急)
「curara」の使用イメージ(画像:東急)

 鉄道各社が施設などのバリアフリー化を進めるのは時代の要請だが、中でも東急電鉄は、誰もが利用しやすいよう、さまざまな取り組みを行ってきた。

 代表的なものは、目黒線を皮切りに、東横線、大井町線、田園都市線の全駅にホームドア(可動式ホーム柵)を設置したことだ。18m車3両編成で運転する池上線、東急多摩川線は全駅にセンサー付き固定式ホーム柵を設置した(世田谷線、こどもの国線はどちらも未設置)。

 特にホームドアは、沿線自治体の補助を受けられなかった駅では全額自社負担して設置を進めた。また、それと並行して、くし型状のゴムを用いてホームと車両の隙間を縮小し、車椅子の人が利用しやすい環境を整えた。

 このほか、駅構内からホームまで円滑に移動できるよう、バリアフリールートの整備、東急線アプリで駅構内の詳細な情報を配信、すべての駅係員と乗務員がサービス介助士の資格を取得、駅係員用のバリアフリー連絡アプリの開発と運用も行ってきた。

 これらの取り組みが高く評価され、2020年度の「バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰」で、大手私鉄では初めて内閣総理大臣表彰を受賞した。

 東急電鉄によると、2021年度の車椅子などの乗車補助は、1日あたり約300件(年間約10万9500件)だという。今後は高齢化がいっそう進み、歩行に負担がある乗客の増加が見込まれる一方、補助業務を行う人材の不足が懸念される。

 そこで高齢者などの利用を想定し、歩行補助ロボットの開発を行っている、信州大学発のベンチャー企業「AssistMotion」(長野県上田市)と連携し、歩行補助ロボット「curara(クララ)」を活用した実証実験に乗り出した。