坂の多い住宅地に取り残された高齢者たち モビリティの進化は「昭和の功労者」を救う手段となりえるか?
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高度成長期以降に開発された、都市郊外にある丘陵地帯の住宅地。その現在が問題になっている。高齢者が移動しづらくなっているのだ。
年齢を重ねると住みにくくなる丘陵地
高齢化社会を迎え、高度成長期以降に開発された都市郊外の居住環境が問題になっている。特に、東京都の多摩地区や神奈川県などに広がる住宅地で著しい。
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私鉄沿線に広がる、坂の多い丘陵地帯の住宅地は、首都圏でありながら比較的広い敷地面積の一戸建てを持てるエリアだった。街路樹が整備された街並みが広がる風景は、ごみごみした都心部と比べて、理想的な居住空間と見られてきた。
ところが、現在では不人気に。なぜなら、年齢を重ねると格段に住みにくくなることがわかったからだ。
多くの住宅地は最寄りの私鉄駅までバス移動が必須のため、毎日通勤していた現役時代よりも体力が落ちれば、都心まで出掛けるのも一苦労だ。スーパーマーケットに買い物に行ったり、近所を散歩したりするのもおっくうになる。この結果、急行停車駅など、比較的規模の大きい駅の周辺にはマンションが建設されるようになり、子ども世代はそちらへと移動している。
止まらない東京都の「高齢化率」
東京都の65歳以上の人口を現す「高齢化率」は2015年に22.7%だったが、2025年は23.3%まで増加することが予測されている。2030年は24.3%、2040年は29.3%と、勢いは止まらない。
東京都で、4人にひとりが高齢者になるのは2030年だ。それゆえ、ラストワンマイル(客に物・サービスが到達する物流の最後の接点)の確保は数年内に解決しなければならない課題となっている。