「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」 川端康成の名作に登場するトンネルの場所をご存じか? 東京2月雪の夜に想う
2月10日、東京に雪が降り23区には大雪警報が発せられた。数年に一度の大規模な積雪となると、多くの人が帰宅を急ぐとともに雪にまつわるエピソードや作品を語り出すが通例だ。
「長いトンネル」の現在

さて『雪国』に記された国境の長いトンネルとは、群馬と新潟県にまたがる上越線の
「清水トンネル」
で、開通したのは1931(昭和6)年である。
全長は9702mで、当時、日本最長のトンネルだった。トンネルの前後はループ線(らせん形に迂回させて距離をのばし緩勾配をとる鉄道線路)だ。
群馬方面から汽車はループ線で山を登り、長いトンネルを抜けて、今度はループ線で下って物語の舞台である越後湯沢に向かうのである。
このトンネルは1967(昭和42)年に上越線が複線化された際に新たにできた新清水トンネル(こちらにはループ線はない)が開通し、上越線が複線化された際、上り線用のトンネルになった。
だから、今は『雪国』と同じ風景で国境の長いトンネルを越えることはできない。
この清水トンネル開通から2021年で90周年を迎えた。翌2022年に40周年を迎えた上越新幹線を建設する際には、新たに大清水トンネルが建設された。