なぜ「西武新宿駅」は新宿駅から400mも離れているのか? 「徒歩5分」の断絶が生んだ都市構造の変化

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都心に残された「400mの断絶」。乗降客数世界一を誇る新宿において、西武線はなぜ最後まで接続されなかったのか。13km・65m地下構想も頓挫し、都市構造までも変えた未接続の深層に、制度・資本・合理性が交錯する戦後都市の縮図が浮かび上がる。

「400m」が示す分断

西武新宿駅(画像:写真AC)
西武新宿駅(画像:写真AC)

 新宿駅は東京都心の重要な交通の中心である。西武新宿駅はその北東約「400m」に位置している。徒歩で行ける距離にあるが、いまだに両駅はつながっていない。

 この短いようで遠いこの距離は、鉄道利用者にとって不便な「徒歩5分」となっている。このずれは、都市の交通インフラがうまくかみ合っていないことの象徴ともなっている。

 なぜこの問題が解決されないまま残ってきたのか。その理由は、電車の運行だけの問題ではない。戦後の都市の成長のしかた、利用者の移動の分かれ方、そして土地開発に関わる資本の動きなど、さまざまな要因が絡み合っている。

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