列車の「スプレー落書き」全部覆ってしまえ! イタリアの大胆対策にあった思わぬ落とし穴とは

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スプレー塗料を使った落書きは重大な犯罪行為だ。ヨーロッパの鉄道の落書き対策について、紹介する。

ラッピングで覆い隠すイタリア

操車場に無防備で留め置かれる貨物列車は格好の餌食で、コストも掛かるためそのまま放置されている車両も多い(画像:橋爪智之)
操車場に無防備で留め置かれる貨物列車は格好の餌食で、コストも掛かるためそのまま放置されている車両も多い(画像:橋爪智之)

 日本では落書きをされた状態で列車を運行させることはなく、車両が使用できなければ運休にするなど、利用客に深刻な影響を与えることになるが、ヨーロッパでは走行に支障がないと判断されれば、そのまま営業で使用するため、醜い落書きをされた姿をさらした状態で運行することになる。

 乗客の視点から見れば不愉快なこと甚だしいが、落書き犯罪があまりに多いことから、全てを取り締まることは難しく、車体清掃のためにいちいち運休にしていたのでは、いずれ全便運休になりかねない。落書きされたままでの運行は、まさに苦肉の策と言えよう。

 とはいえ、さすがにそのまま放置しておくわけにもいかず、鉄道会社としても対策が求められるようになる。まず、落書きをされにくい素材で車体表面を覆うという方法が考えられ、特に落書きがひどかったイタリアで導入された。車体広告ラッピングを応用したもので、車体を塗装する代わりに、広告ではなくコーポレートカラーのラッピングを施すというものだ。これはかなり効果的で、それまでかなりひどい落書きに悩まされていたイタリアだったが、その後はあまり見られなくなった。

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