列車の「スプレー落書き」全部覆ってしまえ! イタリアの大胆対策にあった思わぬ落とし穴とは
スプレー塗料を使った落書きは重大な犯罪行為だ。ヨーロッパの鉄道の落書き対策について、紹介する。
警備強化にも限界

車庫そのものの警備体制を強化する動きも加速している。
これまでは多くの国で、車庫は屋外の人気のない町外れに設けられていることが多く、柵も軽微なもので、誰でも簡単に侵入できるような構造が多かった。落書きの大半は人目に付かない深夜に行われるため、無防備な郊外の車庫に停車中の車両は、格好の餌食だった。
そこで鉄道会社は、車両の留置場所を厳重な柵と有刺鉄線で囲い、監視カメラを設置して不届き者の侵入を阻んだ。最近、どこの国の車庫も、アリの子一匹すら通さないというほど、厳重な警備態勢を敷いているところが増えてきた。
一方で、運用の都合で車庫以外の場所、すなわち駅構内やその周辺の留置線に停車させる場合は、今も注意が必要だ。非常に残念なことだが、こうした場所はまだ警備体制が薄く、対策を立てるのも難しい。とりわけ、ドイツやフランスのように鉄道の規模が桁違いに大きい国は、対策に限界があるため、鉄道会社と不届き者のいたちごっこが今後も続いていくだろう。