列車の「スプレー落書き」全部覆ってしまえ! イタリアの大胆対策にあった思わぬ落とし穴とは

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スプレー塗料を使った落書きは重大な犯罪行為だ。ヨーロッパの鉄道の落書き対策について、紹介する。

剥がれて落書きが表面に

落書き対策のラッピングが剥がれてみすぼらしくなったイタリアの機関車。ラッピングは耐久性と環境問題に課題が残る(画像:橋爪智之)
落書き対策のラッピングが剥がれてみすぼらしくなったイタリアの機関車。ラッピングは耐久性と環境問題に課題が残る(画像:橋爪智之)

 ただし長所ばかりではなく、いくつか問題点も出てきた。まずラッピングの寿命が意外と短いため、比較的早く剥がれてしまうことが後で分かってきた。あるいはラッピング施工が甘く、わずかでも空気が入ってしまうとその部分が浮いてしまい、剥がれやすくなってしまうことも判明した。

 ラッピングが剥がれてしまうと、地肌がむき出しになってしまって、これまた何ともみすぼらしい。中には、落書きされた車体にそのままラッピングして落書きを隠していた車両もあって、ラッピングが剥がれたことで、落書きが再び白日の下にさらされるという、残念な結末を迎えた車両もあった。

 ラッピングはプラスチック素材なので、剥がした後に大量の不燃ごみが発生することも、環境問題が叫ばれている今の世の中ではあまり推奨されるものではない。こうした理由もあり、最近の車両では、簡単に剥がれないラッピングの採用や、他の塗料がのりにくい塗料を使って、これまで通り車体を塗装する車両が増えてきたと感じる。

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