世界最大の鉄道車両メーカー「中国CRRC」、欧州にいまだ本格参入できない残念事情
認証試験という難関

他の2つの契約は、オーストリアの旅客会社ウェストバーンと、ハンガリーの貨物会社レイル・カーゴ・ハンガリアで、前者はオール2階建て特急用車両6両4編成、後者は貨物用の機関車4両で、いずれもメンテナンスを含むリース契約となっている。リースとはつまり、車両をCRRCが保有し、それを各鉄道会社が借りて運用するもので、契約期間満了後はそのまま契約延長もしくは車両買い取り、契約終了というオプションから選択できる。
レオ・エクスプレスは購入契約だったため、納期の遅延およびその後の契約破棄によってCRRCの長期的プランの変更を余儀なくされたが、後にリース契約した2社は借り増しという形になっており、仮にテストが不調に終わったとしても会社のプランに大きな影響はない。
CRRCがヨーロッパ市場で生き残るためには、認証試験をパスすることが絶対条件となるが、2023年2月現在、リース用の2車種についても、まだ認証試験をパスすることはできていない。認証試験は、地元メーカーでもパスするのに苦戦することが多く、納期の遅延がたびたび発生している。ノウハウがあってもそうした状況なのだから、ゼロからスタートのCRRCにとっては、非常に困難な高い壁だと言える。
少しでもノウハウを手に入れるためには、地元メーカーを買収するというのが手っ取り早い方法で、これまでCRRCは地元メーカーの買収を画策したことが何度かあったが、いずれも失敗に終わっている。中にはイタリアの旧アンサルドブレダのように、数社で競り合って負けたケースもあり、旧アンサルドブレダは日立の手に渡った。実は買収の際の提示額は、日立を大きく上回っていたと言われているが、最終的に「別の何か」の理由によって日立が選ばれた。ヨーロッパにおける中国や中国企業への警戒感が、そうした判断へと至ったと考えられる。
果たして、残り2つの契約は破棄されることなく、無事に納入することができるのか。そのための認証試験も無事にクリアできるのか。今、巨人CRRCの真価が問われる。