日中関係冷え込みで、日本企業の関心は「ヒト」から「モノ」へ サプライチェーンの日本回帰は加速するのか?
2023年、日本企業の中で「中国離れ」が進む可能性が高い。その背景を「モノの安全」の面から解説する。
懸念強まる台湾情勢

2001(平成13)年の9.11米国同時多発テロをひとつのターニングポイントとして、世界各地で日本人が犠牲となるテロ事件が断続的に発生し、海外に展開する企業の間では「テロから社員を守る」とする「ヒトの安全」への意識が強まった。
しかし近年、サプライチェーンの安定・確保、経済安全保障や地政学リスクが注目されるようになると、企業の関心は「モノの安全」の比重が高まっているように感じられる。では、2023年、その「モノの安全」を巡って、世界情勢はどう動いていくのだろうか。企業にとってのモノの安全を巡るイシューは多岐にわたるが、ここでは企業の間で最も懸念が強まっている台湾情勢について取り上げよう。