日中関係冷え込みで、日本企業の関心は「ヒト」から「モノ」へ サプライチェーンの日本回帰は加速するのか?

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2023年、日本企業の中で「中国離れ」が進む可能性が高い。その背景を「モノの安全」の面から解説する。

シーレーンに大きな影響

中国共産党大会の閉幕式に出席した習近平国家主席(前列中央)。2022年10月22日撮影(画像:EPA=時事)
中国共産党大会の閉幕式に出席した習近平国家主席(前列中央)。2022年10月22日撮影(画像:EPA=時事)

 今日、台湾問題は単なる地域問題ではない。国力で米国に迫る中国の習近平国家主席は、2022年秋の共産党大会で「台湾統一を必ず達成する」と主張し、そのためには武力行使も辞さない構えを改めて強調した。

 一方、中国を唯一の戦略的競争相手に位置付ける米バイデン政権も、中国による太平洋進出を抑える意味で台湾を最前線と位置付けており、台湾は今日、米中間で最も重要なイシューになっている。双方にとって譲れない問題だ。

 そして、仮に台湾有事になるだけでなく、台湾問題で緊張が今後さらにエスカレートすれば、日本企業の経済活動は大きな影響を受けることになる。

 まず、有事となった場合、中国軍は台湾周辺の制空権と制海権を握ってくるとみられ、そうなれば日本と台湾との間の物流貿易は停止、もしくは制限を受けることは避けられない。また、影響は日台間にとどまらない。台湾南部と東部には、日本と東南アジア、中東やアフリカをつなぐ経済シーレーンが走る。現時点でどれほど影響が出るか試算は難しいが、例えば制海権を握った中国軍により、シーレーンを通る日本の民間商船や石油タンカーの安全な航行が脅かされる可能性がある。

 問題はそれだけではない。安全保障上、日本は米国の軍事同盟国であり、仮に台湾を巡って軍事衝突が生じれば、日中関係が悪化することは避けられない。米軍が「台湾を防衛する」として関与すれば、中国軍が在沖縄米軍基地を攻撃してくることは避けられず、その時点で日本領土が攻撃されたことになる。

 そうなれば、日中ビジネスは止まる可能性が高い。中国依存が強い日本企業ほど、大きな影響を受けることになろうが、中国側が率先して日本にとって代替が難しい輸出品目を選定し、優先的に貿易停止や関税引き上げなど、対抗措置を取ってくることが考えられる。

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