いすゞ自動車の「いすゞ」とは何か? 戦前から日本を支えた名門トラックメーカーの感動物語をたどる

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トラックやバスの名門メーカーいすゞ。1930年代以降、名車の系譜を築きながら日本の経済や国力を支え続けたその歴史に迫る。

昭和初期、国内市場は米メーカーが独占

いすゞTX80型トラック(画像:いすゞ)
いすゞTX80型トラック(画像:いすゞ)

 いすゞと言えば、それなりのクルマ好きであればトラックやバスにおける名門として認識していることは間違いない。その上で、かつては個性的な乗用車を手掛けていたことでも人々の記憶に残っている存在である。

 一方この「いすゞ」というブランドネームは、ある時代の日本車全体における重大なプロジェクトに由来していることを知っている人物は多くはないだろう。

 ちなみに、いすゞの歴代トラックの中でいすゞTXシリーズは、1930年代から1970年代までという長期間にわたって日本のボンネットトラックのスタンダードのひとつとして市場に君臨したまさに名車の系譜だった。

 その中でもTX80は、第2次世界大戦終結直後における新時代の象徴でもあった。

 いすゞTXシリーズの誕生は、1931(昭和6)年にまでさかのぼる。

 この時代、関東大震災復興をきっかけに日本市場に本格参入することとなったアメリカの自動車メーカーは、数年をへずして日本国内のシェアを独占。

 モータリゼーションの拡大という意味では大きな役割を果たした一方で、脆弱(ぜいじゃく)な企業基盤と競争力しか持たなかった、生まれたばかりの日本国産自動車産業は、市場からほぼ駆逐されることとなったのである。