給料&時間だけじゃない! 長距離ドライバーが溜め込む「大不満」の正体
人員不足が続くトラック運送業界。ドライバーの従業員満足度を高めるにはどうしたらよいのだろうか。
業界の最大の経営課題

トラック運送業の最大の経営課題はドライバーの確保である。トラック会社の経営者から異口同音のように聞くのは、「募集しても人が来ない」「応募して来るのは運転職未経験の高齢者などばかり」といった声である。
コロナ禍で物量が低迷している現在でもこの状況であるわけだが、労働規制が強化される「2024年」には、どれほど人材確保が難しくなるのか、想像すら難しい。運送業の経営者は、今すぐにでも人材確保を経営課題に位置づけて、対策を強化する必要がある。
では具体的にどのような対策を実施すべきだろうか。
人手不足対策というと、
「新規採用を増やす」
といった内容をイメージしがちだが、それが全てではない。採用は人手不足対策の「3本柱のひとつ」にすぎない。
採用コスト激増により定着化が課題に

もうひとつの対策は、従業員の流出を防ぐ「定着化」である。
費用を掛けていくら優秀な人材を採用しても、定着しなければ意味がない。穴の空いた柄杓(ひしゃく)で水をくむようなものである。その意味で採用と定着はセットで取り組まないと意味がない。
この背景には、採用コストが増加している事実もある。
10年以上前、ドライバーの採用はほとんどがハローワーク経由であり、募集コストはほぼゼロだった。ところが、現在はハローワーク経由の採用は激減しており、有料媒体経由の採用が主流になっている。その結果、運送会社の採用コストが激増しているのである。
なお、3本柱のひとつの重要な対策は、
「省人化・生産性向上」
によって、必要な人を減らすことである。トラックでいえば、トラックの自動運転、荷卸しのロボット化などがこれに当たる。ただし、トラックの自動運転はいまだ技術的な課題が多く、導入は当面先になる。