仏アルストムの高速列車「AGV」 世界最速技術投入も、フランスで採用されなかったワケ
フランス・アルストム社製の高速列車「AGV」は、大きな期待を担った車両だったが、本国フランスでは採用されなかった。その理由を解説する。
無駄にはならなかった「失敗」

床下に機器類がないTGV-Duplexはまた、1階乗降口の高さがフランス国内の低いホームにちょうど合い、図らずもバリアフリー化を達成することができたのだが、床下機器が搭載されたAGVはもちろん不可能だ。こうしたいろいろな事情が絡み合い、AGVはフランスで完全に行き場を失い、他国での入札でも競り負ける結果となった。
2022年、TGVはDuplex以来のフルモデルチェンジを果たした。アルストム社の製品名「アヴェリア・ホライズン」と称する新しいTGV-Mは、動力車の車体を短くし、その分を客席とすることで座席数を増やした。
AGVは商業的には失敗に終わったが、同車で得られた技術的蓄積によってTGV-Mは設計・製造されており、その失敗は決して無駄ではなかったのである。