自転車運転、ヘルメット無しでは致死率「1.6倍」だった! 4月の着用「努力義務化」から見える交通行政の怠慢ぶり 利用者はまず意識向上を
2023年4月、すべての自転車利用者に対しヘルメットの着用が努力義務化される。このような非現実的(とあえて言おう)な法改正の裏には、自転車事故をなんとか減らしたいという必死の思いがある。
2023年4月に施行

道交法が改正され、自転車を利用するすべての人に対し、ヘルメットの着用が努力義務となることをご存じだろうか。この改正道交法は、2023年4月に施行される。
率直に言えば、「誰が守るの?」とも思ってしまう今回の改正の背後には、40年以上にわたって紆余(うよ)曲折を続けてきた、自転車における交通安全政策がある。前回記事(2022年12月20日配信「ママチャリ&ヘルメットは確かにダサい! でも着用「努力義務化」まであと数か月、今こそ正しい道交法を知るときだ」)に続く本記事では、その経緯と問題点を解説する。
交通事故死者は減少

交通事故における死者数は、モータリゼーションの発展とともに上昇していった。交通事故による死亡者数が一番多かったのは、1970年である。死亡者数は1万6765人、負傷者数は98万1096人に及んだ(ただし、負傷者数がもっとも多かったのは、2004年の118万3617人である)。
警察をはじめとする関係各所の努力のかいもあって、交通事故による被害者数は年々減っていき、2021年には、1948年以降の最少となる2636人まで死亡者数を減らすことができた。これは素晴らしいことで関係各所が長年にわたる努力のたまものだろう。