自転車運転、ヘルメット無しでは致死率「1.6倍」だった! 4月の着用「努力義務化」から見える交通行政の怠慢ぶり 利用者はまず意識向上を

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2023年4月、すべての自転車利用者に対しヘルメットの着用が努力義務化される。このような非現実的(とあえて言おう)な法改正の裏には、自転車事故をなんとか減らしたいという必死の思いがある。

自転車交通事故とヘルメット着用の関係

 これまでの自転車交通事故の内容を分析すると、ヘルメット着用が命を守ることは明白だ。

 自転車事故死亡者のうち、ヘルメットを着用していなかった人(336人)の58.0%にあたる195人が頭部に負傷を負っている(2021年、以下同)。警察庁の統計によれば、ヘルメットを着用しないと、致死率(※死傷者のうち、死者の占める割合)は、約1.6倍に増加するという。ヘルメットは、自転車利用者における安全対策として重要かつ有効なのだ。

 自転車交通事故の問題を考える上で、もうひとつ大切なことは、自転車利用者の交通ルール順守意識の向上である。

 統計によれば、自転車利用中の交通事故により亡くなった人の4人中3人が、何かしらの交通違反をしていたそうだ。また、自転車乗用中の死傷者のうち、88.5%がヘルメットをかぶっていなかったという統計もある。

 「スマートフォンをいじりながら」もしくは「ヘッドホンをした状態」といった安全運転義務違反はもちろん、逆走、信号無視、一時停止違反、夜間における無灯火走行など、交通ルールを無視した自転車利用者の例は、枚挙にいとまがない。また、歩行者に対して、「お前がよけろ!」と言わんばかりに歩道を爆走する自転車は、歩行者にとって恐怖でしかない。

 ヘルメットの着用努力義務化について国は、現在の自転車交通ルール無法状態(とあえて言おう)を正していくための第一歩として考えている可能性がある。

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