長距離ドライバー不足で、地方の名産品が食べられない? 今こそ考えるべき危機解決の「五つの処方箋」とは

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「物流クライシス」が叫ばれ続ける昨今、真の解決策とは何だろうか。今回は五つの処方箋を提示する。

長距離ドライバー不足が最大の問題

トラック(画像:写真AC)
トラック(画像:写真AC)

 トラックドライバーの不足といえば、宅配便を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。確かに電子商取引(EC)や通信販売の拡大により、宅配の利用は右肩上がりで増えている。その需要の増加に対応するために「宅配ドライバーを増やす必要があるのでは?」と問われれば、「その通り」である。

 しかしながら、宅配ドライバーの不足が「物流クライシス」の原因なのかというと、必ずしもそうではない。なぜならば、長距離トラックのドライバー不足は宅配以上に深刻な状況にあるからだ。

 第一に、長距離トラックの多くは大型である。その運転には大型免許が必要だ。普通免許や中型免許では運転できない。つまり、大多数の人は

「宅配ドライバーにはなれても、長距離トラックは運転できない」

のである。人手不足だからといって給与水準を上げたところで、長距離トラックのドライバーを増やすことは簡単ではないのだ。

 加えて、宅配と長距離トラックでは働き方に大きな違いがある。宅配であれば、毎朝営業所に行って、荷物の積み込みや配達・集荷業務をこなし、夜に帰宅する。勤務時間に差はあるかもしれないが、働き方自体は一般の会社員と変わらない。対して、長距離トラックとなると、行き先次第では2~3日自宅に帰れない。毎日家族に会いたい人からすると酷な職場である。

 そういった背景もあり、特に若年層の成り手が少ない長距離トラックは急速に高齢化が進んでいる。厚生労働省の調査によると、大型トラックのドライバーは50歳以上の割合が半数を超えた。30代以下の割合が15%を下回りつつあることを考えても、今後の事業継続が危ぶまれる状況にあるといってよい。

 2024年4月には、今まで猶予されていた時間外労働の上限規制がトラックドライバーにも適用されるようになる。そのとき、相対的に大きな影響を受けるのは人手を確保しやすい宅配ではない。大型免許が必要で、毎日自宅に帰れない、高齢化が進んだ長距離トラックだ。2024年問題が発生すると、宅配物が届かなくなるのではなく、

「遠方の新鮮な野菜や海産物を食べられなくなる」

のである。